ボードゲームプエルトリコの4人プレイでの2番手の戦法、2番手宿屋システムについて改めて書いてみます。プエルトリコが発売された直後から、1ラウンド目に2番手が宿屋を建ててR2-1開拓で採石場を取り稼働させ、他人の建築で無料の小インディゴを建てるという2番手宿屋プレイが発見されました。動きが面白いことから人気となりましたが、序盤に0ダブロンとなるデメリットが大きくすぐに廃れた戦法でした。
2009年頃、プエルトリコを始めたばかりの友人にこの原始2番手宿屋プレイを披露したところ、試しにと採用した友人の宿屋プレイを見て、もしかしたら宿屋が弱いから廃れたのではなく発売直後ではプレイ技術が追い付いていなかっただけで、現在の技術と明確な方針があれば2番手の軸建物にできるのではないかと思いたち、私midgeが、所属するプエルトリコ研究会の西の会メンバーたちの協力を得て完成させた戦法が2番手宿屋システムです。
4人プレイのプエルトリコでの2番手宿屋システムは、序盤において主導権を握りがちなコーンプレイヤーに対抗するための戦略として非常に有用です。このシステムは、2番手プレイヤーが序盤で互角の状態を目指すために使用されます。
※具体的には、ラウンドR1からR6~8くらいまで、または商人フェイズで商店スロットが一巡して空になるタイミング、建築フェイズでまだ誰も工場や港を建てていない状況を序盤と定義しています。
2番手宿屋システムの目的は、序盤で低額3品種+大市場+採石場2枚の体制を作り、コーヒータバコ持ちのプレイヤーの主戦場である売却レースに参加することで、コーンプレイヤーの利益を相殺し、ゲーム中盤に向けて有利な立場を築くことです。この戦略は、コーンプレイヤーが協調して最速でコーヒーやタバコを売り局面をリードしたとしても、2番手プレイヤーが適切なスピード感覚で進めば、間に合うように設計されています。
ただし、2番手宿屋システムは優秀な戦略であるものの、必ずしも勝利を約束するものではありません。ゲームの展開や他のプレイヤーの戦略によっては、中盤に入る頃にやっと互角化が達成できることもありますし、コーンプレイヤーがその利を活かして勝利することもあり得ます。したがって、このシステムを使用する際には、ゲームの流れを読みながら柔軟に対応する必要があります。
具体的な手順は次の通りです。R1-1開拓の時、2番手はコーンタイル(ない場合はサトウタイル)を取り、R1-2で金鉱を選び、R1-3建築ならそこで宿屋を建てます。この時、4番手もしくは1番手が建設小屋を建ててきたときは、宿屋を建てることを放棄して建設小屋を建てます。この、宿屋を建てるのを放棄するところまでシステム化しているのがこの戦法の特徴のひとつです。
良くある流れではR3-1建築等の他人の建築で小インディゴを建て、R3-4で開拓を選びコーンもしくは採石場を取ります。R4-3ではボーナスダブロンが乗っている役職を取るのが普通ですが、R4-1とR4-2で建築が選ばれなかったときはR4-3建築を選び小サトウを建てる「2番手宿屋システム サトウ早組み」の筋に入ります。建築を1回パスしなくて済むため、一手早く低額3品種+大市場の体制が作れます。
また、R2-4建築が入った場合は、R3-4建築を選んで建設小屋を建てる「2番手宿屋システム 建設小屋アクセラレイティド」の筋に入ります。詳細は別記事に書いてありますので興味があれば読んでみてください。
2024年現在、過去記事から戦法を修正したところとしては、4番手が建設小屋を建てたときも宿屋を建てるのを放棄して、2番手は建設小屋を建てるようになったことです。4番手に同じ方針のプレイをされたとき、4番手の方が早く大市場を建てることができて2番手が大市場が購入できない可能性があることと、ラウンド跨ぎの監督の手筋で4番手と協調して仕掛けることができなくなるというデメリットが大きいためです。
また、3番手が建設小屋を建てるパターンもありますが(R2-1開拓で建設小屋効果で3番手も採石場を取り、直後にR2-2市長を選びコーンと採石場を稼働させる狙い)、今のところは宿屋を建てた方が良いと考えています。
1番手の初手金鉱の時は開拓採石場を選ぶのが無難ですが、今回ご紹介するゲームは初期プランテーションタイルにコーンが2枚ということで、1番手も対応に苦慮して初手金鉱を選んだ感じです。そういう時はR1-2建築宿屋の2番手宿屋システムが有効な戦法のひとつですのでご紹介します。
初期プランテーションにコーンが2枚のオープニングです。これがあるのでインディゴプレイヤーは序盤に悩みます。単純に3番手にコーンタイルを回すとそれだけで上手なプレイヤーだと好き放題やられてしまう恐れがあります(本ブログでも3番手にコーンが回ったときの戦法のコーン小倉庫プレイをご紹介しています)。このゲームでは1番手は初手金鉱を選び2番手に対応を委ねました。今回はR2-1建築で宿屋を建てて2番手宿屋システムを選びました。1番手に建設小屋を建てられたとしても1番手は採石場を持っていないので問題ありません。
3番手はR1-3で開拓採石場や開拓コーンという選択肢がありますが、コーン小市場体制なのでR1-3市長を選びました。R1-4監督R2-1開拓ならR2-2商人で優勢という判断です。
4番手は監督は有利にならないことが理解できているので開拓を選びました。コーン2枚なので2番手にコーンを回すと宿屋効果で稼働してしまうので4番手は採石場を取らず、R1-4開拓 4:コーン 1:コーン 2:サトウ 3:コーヒーというピックとなりました。開拓フェイズが終わりタイルが更新されました。2回目のプランテーションタイルもコーンが2枚ある珍しい展開です。R2-1開拓で採石場を選ぶと3番手4番手にコーンが回ります。
とは言えR2-1開拓採石場は固定の手なので手は変えられません。R2-1商人(+1)、R2-3市長と進み、R2-4建築タバコかと思いましたがR2-4船長(+1)でした。これで後の4番手の小市場コーン売りが確定します。
R3-1監督(+2)、R3-2金鉱(+1)、R3-3建築(+1) 1:タバコ 2:小インディゴ 3:パス 4:建設小屋と進みましたので、予定通りR3-4開拓採石場です。今回はコーンタイルはありませんでした。
R2-4船長を選んだ結果、R4-1商人(+1) 4:コーン+2とコーン小市場売りが確定します。R4-2船長で6船にコーン出荷して船をロックするのかと思いましたがR4-2開拓採石場でした。3番手4番手のコーンを回さないように開拓を選んだのだと思います。2番手としては他人の手番でコーンが取れて稼働するのでありがたいくらいです。R4-3は建築で小サトウを無料建築します。2番手宿屋システムのサトウ早組みの手順です。R4-4船長で5船に出荷し船がオープンになりました。
一気に進んで終局図です。R14建てきりエンドで、出荷点は1番手から順に11/14/16/21点でした。中盤どうやってコーンの出荷を止めたかは実際のゲームを見ていただければと思います。
https://boardgamearena.com/table?table=411197984
1番手初手金鉱に対する2番手宿屋システム
4人プエルトリコで初手金鉱のオープニングはしばしば見かけます。初手金鉱時の2番手の選択肢はいろいろあって楽しみが多いです。初期プランテーションタイルにコーンがなければ普通に開拓を選んで採石場を取ることができますので、シンプルにR1-2開拓採石場は無難です。今回は建設小屋を建てるプレイをご紹介します。2番手宿屋システムで1番手に建設小屋を被せられた時は建設小屋を建ててR2-1市長を入れるプレイがありますがその応用です。すでに採石場を1枚持っているのでより強力です。
R1-1金鉱、R1-2開拓 2:採石場 3:タバコ 4:サトウ 1:サトウ、R1-3建築で1番手が小サトウを建てたのでR2-4市長が見えています。ここで2番手としては小インディゴを建てても2-4市長で採石場をオフにするなら無駄です。一方で建築パスもしたくはありません。そこで建設小屋を建てました。
4番手は普通にR1-4市長です。ラウンドが変わって開拓や商人が普通の手ですが、ここでR2-1市長を入れます。市長を入れるときに人が余ることを気にしてなかなか市長を選ばないプレイヤーがいますが、序盤の人は何人居てもいいので隙あらば市長を入れたいところです。R2-4市長で採石場をオフにしてR3-4で市長を入れ直すくらいならR2-1市長の方が断然良いですし、建設小屋は多くの場合で無駄になりませんし建築1回分は無料の小インディゴで回すことができます。
終局図です。採石場2枚からコーヒー兵へと進み、4番手の大市場に合わせて大市場を建て、採石場3枚体制を活かしてのギルホ速攻でR14人切れエンドです。R2-1建設小屋以降は臨機応変にプレイするので中盤は省略します。建築速攻ではありますが、序盤人の多さを利用して出荷点を稼いでいます。3番手4番手は港造船所体制ですが、1番手から順に出荷点は12/13/14/23点とあまり点差はありません。どんなプレイングでも序盤の出荷点と船のコントロールは大事です。
https://boardgamearena.com/table?table=416343118
2番手建設小屋プレイ