プエルトリコは拡大再生産ゲームと呼ばれることがあります。プエルトリコの得点には大きく分けて建築点と出荷点がありますので、得点を稼ぐ方法の違いにより建築型と出荷型と呼ばれるふたつの型があります。建築型は市場や工場といったお金を増やす建物を建てながら拡大再生産していき、出荷型は港や倉庫といった得点を増やす建物や産品を保管して確実に得点にする建物を建てながら出荷点を伸ばしていきます。
俗に達人は無刀に至ると言いますが、武器を使わずに戦うという意味で「無刀流」と称しているプエルトリコの戦法があります。具体的には、小市場、大市場、商館、工場、小倉庫、大倉庫、港、造船所を建てずに勝つプレイです。このような勝ち方を許容しているプエルトリコというゲームは単なる拡大再生産ゲームではないということですので、作者のアンドレアス・ザイファルトのゲームデザインは素晴らしいと言うほかありません。
1-1建築 1:小市場 2:小市場 3:建設小屋 4:建設小屋 バランスドでは良くあるオープニング。公式ルールではあまり有効ではなく、そもそもコーンプレイヤーに小市場を回さなければ主導権が消えるというわけではないので、実のところこのオープニングは悪手と思います。
1-2開拓 2:採石場 3:コーン 4:コーン 1:タバコ
1-3市長 3:コーン1建設小屋稼働 これで3番手有利です。
1-4金鉱、2-1商人、2-2監督、2-3船長と進みました。
2-4建築 3:農地、3-1市長 建設小屋農地プレイの完成でさらに3番手有利になりました。
3-2金鉱、3-3開拓、3-4監督、4-1建築、4-2商人、4-3船長と進んだので4-4市長を選びました。3連続の市長で6人と3人で、大きく人の数でリードしたので3番手が相当有利です。
一気に飛んで終局図です。最後のラウンドに建築スロットを埋めるため建物なら何でも良いやとうっかり工場を建てましたが稼働はしていません。このように、プエルトリコというゲームは収入を増やす建物も出荷点を増やす建物も建てずにプレイング技術だけで勝つこともできます。決して手を抜いているわけではなく、建設小屋農地プレイからの自然な発展形としてこの戦法は存在しています。実力差のある相手にだけ通用する戦法ではなく、BSWではトップランカー同士のゲームで使用して勝ったこともあります。また、今回はギルドホールを建てていますがギルドホールは必須ではありませんし、大建物1枚で勝つこともあります。
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