4人プエルトリコ 工場大倉庫プレイ

4人プエルトリコの工場大倉庫プレイについて解説します。不人気建物ナンバーワンの大倉庫ですが、工場と組み合わせることで非常に強力な体制を作ることができます。友人のFacemanさんが得意とする戦法で私は彼から学びました。工場というと、コーヒー/タバコを含む4品種と小倉庫の体制で高額産品売りも狙いつつボーナスダブロン乗りの監督を入れ工場効果でさらに3ダブロンを得ながら軽快に仕掛けるというのが普通ですが、工場大倉庫プレイは工場に大倉庫を組み合わせた重厚な体制です。私の使う工場大倉庫プレイは彼の模倣ですが、自分のプレイスタイルで不足している部分を補完する戦法なので採用するようになりました。

自分が工場を建てていて、出荷プレイヤーがすでに多くの出荷点を稼いでいてギルホ速攻が成立しない局面である、工場小倉庫体制にしたかったがすでに小倉庫が売り切れている、工場造船所体制とするには資金不足かコーン枚数が少なすぎる、自分の産品と船がミスマッチである、といった時には採石場2枚を持った状態から4ダブロンで大倉庫を建てるのは大変有効な手です。

大倉庫は港プレイヤーと協調して出荷に付き合える上、産品を溜めて一気に出荷することで港の稼働回数を減らし港効果を弱体化させられるという特徴があります。大倉庫に蓄積することで造船所プレイヤーの重ね監督も牽制できます。また、監督権利者になれるため、積極的に監督を入れてエクストラ産品の操作で船を掃かせたり欠け船を作ったりして港プレイヤーを制御できます。コーン2個タバコ2個のような生産は普通は愚形ですが工場大倉庫の場合は好形となります。港プレイヤーが2人いる場合、特に工場大倉庫プレイは有効で、港の購入で所持金を消費しておりその分大建物が買われていないことを意味するので大建物を2枚建てるのも容易です。1番建てたい大建物はギルドホールか税関ですが実戦では税関を建てることが多いです。

自分から積極的に出荷しなくても良く建築速攻のようにゲーム終了を急ぐ必要もありませんので手の自由度が非常に高いです。最後の船長で大倉庫で蓄えた産品をすべて吐き出して大量出荷するのが理想です。このように、中終盤において手の広さを確保し建築型出荷型どちらとも協調できるのが最大の強みです。1対3の展開となっても切れ味で勝負するギルホ速攻やコーン小倉庫プレイのような戦法と違い、どのような状況でも利得を得られる体制というのが魅力です。先読みよりもポジショニングを重視するプレイスタイルに合っていると思います。

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3番手です。R6-4建築で工場を建て、R7-1で市長を入れたところです。3品種工場体制を作ることはできましたがすでに小倉庫が売り切れ、5船6船がオープンになりそれなりに出荷点が減っている状況です。工場小倉庫体制はもう作れませんし4品種工場港体制を目指すには一手遅いです。すでにギルホ速攻が成立する条件は満たせない状況で、確実に出荷ゲームになる様相です。

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R7-3商人で1番手がタバコを売却、R8-1建築で4番手は高額産品もなく採石場もないので大市場を建てますが、ここで小倉庫持ちの1番手が港を建てました。3番手としてはとりあえず小インディゴを建て工場収入を増やしに行きます。R8-2市長で即稼働、船もマッチしているので1番手優勢です。ここからどうやって逆転するかが3番手の悩みどころです。

#ちなみにBGAだと出荷トップを押し上げて大差勝ちさせても自分は遅すぎる港を建てて出荷点で2位狙いを目指すようなプレイヤーが高ランク帯にも居ますが、ちょっと不利なくらいで逆転勝ちを諦めるのは非常につまらないと私は思います。そもそもプエルトリコはタイブレークで1位を決めますが2位以下に価値はありません。BGAは無理にタイブレーク処理までして2位以下のELOレーティング変動を決めるシステムのため、不利な状況から逆転勝ちを目指せる粘り強いプレイヤーがBSWより少ないと感じます。

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R8-3船長と進んだのでR8-4で2ダブロン乗り監督を入れ所持金を増やします。R9-1船長で港に大量に出荷点を稼がれますが、3番手も小市場ではなくコーン2枚にしておりエクストラのインディゴ分も含めて4点は出荷できます。次にR9-2金鉱と入りました。ここで3番手は7ダブロン持っていて採石場1枚なので建築を入れて港や造船所を建てることもできますが、R9-3は開拓で採石場を取って力を溜めます。R9-4商人の他人の商人でコーヒーを売って収入を得ます。この進行はR8-4からの読み筋でラウンド跨ぎのバスターの手筋であり一種のラウンドコントロール監督でもあります。R10-1建築が入り2番手が港を建てたのを見届けてから、満を持して大倉庫を建てR10-2で市長を入れます。これでどんな展開になっても裏目を引くことはありません。

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終局図です。最終的な出荷点は1番手32点、2番手15点、3番手20点、4番手26点でした。序盤は4番手のコーンサトウでの監督早仕掛け、中盤以降は1番手の4品種小倉庫港体制という出荷ゲームでした。途中小倉庫持ちでも産品が腐っていましたが、大倉庫ではひとつも腐りませんでしたし、最後の船長で蓄積していた分をすべて出荷できました。結果的に出荷点トップの港プレイヤーに対して12点差しかつけられませんでした。これはだいたい大建物ひとつ分の差ですので、1番手より常に1枚多く大建物を建てるだけで良いという差です。2番手はいわゆる遅すぎる港で、小倉庫もないのであまり活きていません。もしR9-3で3番手が港を建たとしたら似たような稼働状況となってしまいたいした出荷もできず、採石場が少ない分建築点も稼げなかったと思われます。このゲームでは他人に港を買わせたうえで大倉庫を建てたのがポイントとなります。

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工場大倉庫プレイ その1[本記事]

https://boardgamearena.com/table?table=423587524
工場大倉庫プレイ その2