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キャメロットを覆う影(Shadows over Camelot)

 「キャメロットを覆う影(シャドウズ・オーバー・キャメロット)」(Serge Laget, Bruno Cathala / Days of Wonder / 2005)は、アーサー王伝説が舞台で、プレイヤーたちは円卓の騎士となり協力して悪の勢力を倒すと勝利となるゲームです。しかし、円卓の騎士の中にひとりだけ裏切り者がいます。裏切り者は他のプレイヤーたちを妨害し、悪の勢力が勝つと勝利となります。

 ボードゲームでは数が少ない協力ゲームであり、同様に数が少ない裏切り者がいるゲームです。そのため、非常に珍しいタイプのボードゲームであるとも言えます。面白いと思うかどうかは個人によって感性が違うとしても、珍しいシステムですので一度プレイしてみた方が良いと思います。協力と裏切りというものが上手にシステム化されており、テーマであるアーサー王伝説も活かされている、極めて高い評価ができるゲームだと思います。

 プレイは基本的に会話によって全員の合意を得ながら行動して行きます。初期状態で6種類あるクエストをどのように攻略して行くか、互いの手札やキャラクターの能力などを軸に戦略を立てることになります。各プレイヤーは自分の手番が来ると最初に悪の勢力のプレイをし、次に円卓の騎士である正義側の勢力のプレイをします。必ず悪の勢力側も進行して行きますので、協力しないととても攻略できません。しかし、裏切り者が混じっているので全面的に信頼すると取り返しのつかない事態になることもあります。裏切り者のプレイヤーはソロクエストを故意に失敗させたり、いろいろと理由をつけて協力を拒んだり、わざと戦略を間違った方向に誘導したりと、いろいろな妨害をします。

 裏切り者を「告発」することができますが、告発が間違う危険性もありますし、裏切り者自身が虚偽の告発をすることもあります。また、裏切り者が確定したあとは以後悪の勢力のみをプレイしますので告発すれば良いというものでもありません。怪しいプレイヤーが居ると分かっても「裏切れない状況」を作りつつ協力させる、言わば「泳がせておく」というのも実に有効な戦略でもあります。

 このあたりの協力と裏切りのシステムが非常に良くできているのですが、人数によってゲームバランスが激変するのが難点でもあります。3〜7人でプレイできますが、人数が少ないと裏切り者が有利に、多くなると正義側が有利になります。4人プレイだと基本ルールのままでもバランスが取れていると思いますが、5人以上となると初期状態で役割をなしにしたり、初期手札枚数を減らしたり、初期生命力を減らしたりと細かなバランス調整をした方が良いと思います。初めてプレイする人と経験者のバランスによっても調整すると良いでしょう。

 また、裏切り者が居るのか居ないのか分からない方がプレイに深みを与えますし、裏切り者が居ないプレイはさみしいものがありますので、「プレイ人数+1枚」のカードを使用して、裏切り者が居るかいないかは分からないけれど高確率で居る、というようにプレイすると楽しいと思います。

 余談になりますが、協力と裏切りと言いますと、同じ非電源の卓上ゲームであるTRPGでは古くから行われていることです。長いキャンペーンのクライマックスのプレイングの前日にゲームマスターがひとりのプレイヤーに電話を掛け、今まで見え隠れしていた魔王の手下の正体が君であると告げ、最後の戦いで後ろからナイフで刺すようにと指示を出します。そしてそのシーンで仲間を後ろから刺し、「はっはっは、実は俺が魔王様の部下だったのだ」「バ、バカな」、といったことは頻繁に行われてきました。一種の風物詩のようなもので、30年前にTRPGが通過した地点でもあります。個人的には、ボードゲームの進化のひとつの方向性が垣間見えるような気もします。

シャドウズ・オーバー・キャメロット
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Shadows over Camelot(キャメロットを覆う影)

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