« プエルトリコ戦略論(序説) | メイン | キャメロットを覆う影(Shadows over Camelot) »

プエルトリコ戦略論(総督・ラウンド進行)

 プエルトリコの戦略・定跡(定石)について、ここでは「総督」タイルに関連した内容について書きます。主にラウンド進行に関して、それに伴ったよくあるケースなどの解説をします。ラウンド進行はやや特殊で、次のようになっています。

  • 「総督」タイルを持っているスタートプレイヤーが役割カードを選択する。次に左隣のプレイヤーの手番となり役割カードを選択、順に(時計回りに)手番が移り、最後のプレイヤーの手番が終了するとラウンド終了となる。
  • スタートプレイヤーの左隣のプレイヤーに「総督」タイルが移り、次のラウンドのスタートプレイヤーとなる。

 他の一般的なゲームのようにスタートプレイヤーから永遠に時計回りで進行するというシステムではないため、自分の手番が回ってくる間隔にはムラがあります。したがって、最も能動的なプレイである「役割カードの選択」という行為はいつも自由には行えません。プレイ人数ごとに、以下の通りとなります。

  • 3人プレイ
     (1→2→3)→(2→3→1)→(3→1→2)→1
     スタートプレイヤーの間隔は9番目(3ラウンド)ごと
     役割カードを選択できる間隔は、5番目、2番目、2番目、の繰り返し
  • 4人プレイ
     (1→2→3→4)→(2→3→4→1)→(3→4→1→2)→(4→1→2→3)→1
     スタートプレイヤーの間隔は16番目(4ラウンド)ごと
     役割カードを選択できる間隔は、7番目、3番目、3番目、3番目、の繰り返し
  • 5人プレイ
     (1→2→3→4→5)→(2→3→4→5→1)→(3→4→5→1→2)
     →(4→5→1→2→3)→(5→1→2→3→4)→1
     スタートプレイヤーの間隔は25番目(5ラウンド)ごと
     役割カードを選択できる間隔は、9番目、4番目、4番目、4番目、の繰り返し

 このシステムにより、一度スタートプレイヤーとなった後は、選びたい役割カードが思うように選べないという辛い状況がしばらく続きます。4人プレイの1番手が、次に自分の好きな役割カードを誰の妨害もなく選べるのは16番後です。序盤に好きな役割カードを選択しづらいため、俗に「2番手不利」と言われることがあります。実際、イニシアティブを握るためには手番が重要である序盤に、選びたい役割カードを選択しやすい3・4番手は自然に打っていても手になりやすいためやや有利です。

 3人プレイのときは、初期配置のプランテーションタイルと人数と役割カードの種類と枚数の関係で序盤の定跡がほぼ決まっています。1ラウンド目は「開拓(建築)」→「建築(開拓)」→「市長」、2ラウンド目には1ダブロンずつ乗っている「商人」→「監督」→「船長」となり、3ラウンド目から好きな手を指すという流れが多いです。

 なぜこのような流れになるかと言いますと、次のような理由からです。2ラウンド目には2番手がスタートプレイヤーですが、初期プランテーションタイルが「インディゴ」のため1ラウンド目で「コーン」を引いていない限り「監督」は3番手へのアシストとなりますので選びにくいです。とは言え、「船長」を選択すると1番手に「コーン」がない場合3番手は「監督」を選びます。次に1番手が「商人」を選んでも3番手は「コーン」を売らずに手元に残しますし、1番手が他の役割を選ぶと3ラウンド目のスタートプレイヤーである3番手は2ダブロン乗った「商人」を選んで「コーン」を売却し、3番手が圧倒的有利となってしまいます。1番手に「コーン」がある場合は、3番手「商人」→1番手「監督」→3ラウンド目の3番手「船長」などと続き、分岐は増えますが結局2番手がやや劣勢となるケースが多いです。

 したがって「商人」(3ラウンド目に2ダブロン乗るのを防ぐ)→「監督」(ひとりで2個生産できる)→「船長」(3番手の「コーン」を出荷させて場を収める)となるケースが多いです。2ラウンド目のスタートプレイヤーである2番手は、『3番手がひとりで「コーン」のときは何も考えずに「商人」』、が棋理に適ったプレイとなります。2番手が1ラウンド目で「コーン」を入手していたときはこの定跡から外れます。また、1ダブロン乗っている役割カードよりも乗っていない役割カードを選択する方が有利と判断する場合にも定跡から外れます。何を選んでも1番手が「コーン」を持っていない場合は3番手「監督」→1番手「船長」、で3番手やや優勢ですがひとつの分かれです。

 4人プレイでは「金鉱掘り」が役割カードに追加されますので、ここまで定跡化はされていません。一番多い流れは「開拓」→「建築」→「市長」→「金鉱掘り」だと思いますが、これ以外の流れになるケースも多いです。プランテーションタイルに「コーン」がないような場合などでは、1ラウンド目の生産を防ぎつつ入植者を確保する奇襲技の「初手市長」、他プレイヤーが選択するのを防ぎつつ1ダブロン取得して次の「建築」に備える「初手金鉱掘り」など、様々な初手からの流れがあります。

 何人プレイでも、次のプレイヤーが何をしたいのかを考えるのは重要です。このゲームではプレイヤー間の直接攻撃も交渉もないため、影響を与えられるのは主に自分の下家のプレイヤーに対してです。局面によっては自分の役割カードの選択がどのような影響を及ぼすのか、パズルのように読む必要があります。特に「監督」は最も影響の多い役割カードですので、悩んだときは「監督」以外を選ぶ方が良いケースがほとんどです。困ったときは「金鉱掘り」、というのは無難な手です。

 自分の選びたい役割カードを無条件で引けることはほとんどないため、他人に自分の選びたい役割カードを選ばせるのは重要です。俗に「仕事」、「仕事をさせられる」、と言われているものが最も端的です。自分が「監督」を選び他人の「コーヒー」や「タバコ」を生産したのにも関わらず、自分の下家に「船長」で出荷させて高額作物を売却させないようにするケースなどが挙げられます。下家もそれをしないとゲームが崩壊してしまうため、渋々ながら選択することなります。

 より高度になると、「仕事をさせられた」のを気づかせないで他人に役割カードを選ばせるプレイがあります。「一見他人の得になる役割カードの選択に見えてこっそり自分が一番得している」というプレイです。回りから見ると結果的にそうなっただけと見えるケースもありますが、上級者は意識的にもしくは無意識的にこのようなプレイを行っています。分かりやすい例で言うと「出荷型」の協力プレイが挙げられます。これは誰かと一緒に幸せになるプレイとも言えます。分かりにくい例としては、わざと「商人」を選び他人に高額作物を売却させる、売却で金を得たのでそのプレイヤーは「建築」を選ぶ、並び順の関係で自分が最後の1枚の「港」を購入できる、というようなケースなどが挙げられます。「選ばされる」プレイヤーには、何も考えずに喜々として選択する人もいますし、読み切った上でなお自分にとっても有益であると判断して選択する人もいるでしょう。このあたりの読み合いと駆け引きがプエルトリコの面白さの要因であり、上級者とそうでない人を分けるひとつの要素でもあると思います。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://midge.jp/mt-tb.cgi/23

コメント

「初手金鉱掘り」は、次の建築で何を買うためですか?

 「初手金鉱掘り」の最大のメリットは手が広いことです。また、自分だけが得する行為でもあります。通常「金鉱掘り」は4番手が選択する機会が多いのですが、「初手開拓」はアドバンテージが握れないケースなどで選択することがあります。「初手金鉱掘り」を選ぶことで後手番以降に先に「開拓」と「建築」を選ばせて手を決めさせることができます。

 後手番以降の選択を見ながら「開拓」フェイズでプランテーションを選択でき、「建築」フェイズでは「農地」「建設小屋」「小インディゴ」「小砂糖」「大インディゴ」「大砂糖」「宿屋」が選択できます。次ラウンドですぐに建築が選ばれても2金建物がふたつ建てられるのと、4金建物を建てられるメリットが大きいです。

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)