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2006年11月27日

チケットトゥライド/乗車券(Ticket to Ride)

「チケットトゥライド/乗車券」(Alan R. Moon / Days of Wonder, バンダイ / 2004)は、アメリカ大陸に鉄道網を引くゲームです。2004年ドイツ年間ゲーム大賞(Spiel des Jahres) 受賞、同年ドイツゲーム賞(Deutscher Spielepreis) 第6位と、2004年の話題作です。シリーズ化されており、ヨーロッパ、メルクリン、USA 1910、とリリースされています。今年2006年には第1作目の「チケットトゥライド」がバンダイから発売されました。
 行き先チケットに示された都市と都市を繋ぐと得点となり、最も得点の多いプレイヤーが勝利となります。得点は行き先チケットごとに違い、最長路線を引いたプレイヤーにはボーナス点が入ります。繋げられなかった行き先チケットは失点となります。

 プレイヤーは自分の手番で列車カードをドローするか、列車カードをプレイするか、行き先チケットをドローするかのいずれかの行動を選択できます。列車カードをドローするなら、プレイヤーは5枚晒されている場札の中もしくは山札から1枚、列車カードをドローします。場札からドローしたときは山札から場札に1枚補充し、5枚中3枚がSLカードになったときは場札をすべて捨て札とし、新たに場札として5枚晒します。そして2枚目を同様に場札もしくは山札からドローします。このとき1枚目に場札からSLカードをドローしたときは2枚目はドローできず、また2枚目にSLカードをドローすることもできません。
 このSLカード絡みのドロールールが少しややこしいですが、後は非常に簡単です。列車カードをプレイして列車コマを置いて路線を繋げるだけです。手持ちの行き先チケットの路線を繋げ終わったら新しい行き先チケットをドローして手持ちの列車コマが2個以下になるまで続けます。

 手札上限はありませんのでカードは引き放題引けます。ですので基本的に手札でカードを揃えてからプレイすることになります。ひたすら全員カードを引き続けるのが続いたりもします。ゲーム終了時に余った手札は得点にも失点にもなりませんので、理想としては手札ギリギリでたくさんの路線を引きたいところですが、実際は余分な列車カードをたくさん持ちながらのプレイになりがちです。ルールがシンプルで2〜5人とプレイ人数にも幅がありますので、難しく考えずに遊べる手軽さが魅力だと思います。

 海外版を購入することもできますが、バンダイ版は3,000円台と安くお勧めです。ただし、安い代わりにカードが台紙から切り離されていないので遊ぶ前にカードを切り離す必要があります。ボードはしっかりしていますし、SLカード絡みのややこしいところも絵入りで分かりやすく説明されています。入手しやすいのも利点です。


チケット トゥ ライド(楽天で購入)

Ticket to Ride(Days of Wonder)
 チケットトゥライド(バンダイ) 
 ドイツ年間ゲーム大賞 2004(Spiel des Jahres 2004)

2006年11月22日

郵便馬車(Thurn und Taxis)

「郵便馬車」(Karen Seyfarth, Andreas Seyfurth / Hans im Glück, Rio Grande Games / 2006)は、15世紀のドイツ地方で郵便配達網を構築するゲームです。ドイツ年間ゲーム大賞(Spiel des Jahres) 受賞、ドイツゲーム賞(Deutscher Spielepreis) 第2位と、2006年で最も評価されたと言えるゲームです。すでに定番ボードゲームのひとつになっていると思います。

 プレイヤーは場に晒された6枚のカードもしくは山札から都市カードを1枚ドローし、手札から1枚都市カードをプレイします。それを繰り返すことで隣接する都市カードを繋げて郵便網を構築し、確定させて郵便局駒を都市に配置して行きます。いち早く郵便局駒を使い切りゲームを終わらせて逃げ切りを狙うのか、また長い配達路線を築いてボーナス狙いで行くのかなど、得点していく方向性を選択できます。最も多くのポイントを稼いだプレイヤーの勝利となりますが、獲得した馬車の価値、ボーナスタイルのポイント、配置できなかった郵便局駒の数で勝利ポイントが変わりますので、どのように郵便配達網を築いて行くか頭を悩ませることとなります。

 また、手札上限はターン終了時に3枚と少ない一方で、場のカードに欲しいカードがないときは晒されたカードをすべて捨てて新しく6枚山札から引いて場に晒すことができます。必然的に手札で路線を揃えて行くのではなく場のカード6枚+新しく晒した場のカード6枚+山札の計13枚から欲しいカードをドローしていくのがセオリーとなるようです。2〜4人用のゲームですが、4人だと自分の番が回ってくるまでに何度も場のカードが流されてしまい、捨て札や他のプレイヤーの動向から残りのカードを推測しつつも、結局は自分の番が回ってきてから考えるというプレイになりがちです。そのためゲーマー向けというよりは割と軽目のゲームという印象です。

 ルールは簡単ですし、ボードゲーム初心者の方にもお勧めできる良いゲームだと思います。他人の行動で自分の行動の邪魔をされることが少なくせいぜい場のカードを流される程度ですので、とにかく自分のやりたいことができますから不慣れな方でもフラストレーションを感じることは少ないと思います。また、2人でも遊べるボードゲームであるというのもポイントだと思います。それと郵便局駒がかわいいのが個人的には大変気に入っています。

Thurn und Taxis(Hans im Glück)
 Thurn und Taxis(Rio Grande Games)
 ドイツ年間ゲーム大賞(Spiel des Jahres)
 ドイツゲーム賞(Deutscher Spielepreis)

2006年11月19日

ミッション:レッドプラネット(Mission : Red Planet)

 「ミッション:レッドプラネット」(Bruno Faidutti, Bruno Cathala / Asmodée Editions / 2005)は、スチームパンク風の世界で、企業のオーナーとなって火星の資源を独占すべく宇宙飛行士を送り込み火星を開拓し資源採掘権を得るゲームです。資源採掘権を得てもっとも多くのポイントを獲得したプレイヤーが勝者となります。また、イベントカードを達成させることでポイントを得ることもできます。3〜5人用です。

 どのようなゲームかを例えて言うなら「操り人形」と同様の役割カードを用いた「ルイ14世」のような不自由な陣取りゲームです。作者のBruno Faiduttiは「操り人形」の作者でもあり、このような役割カード制が好きなのかこのゲームでもほとんどそのまま用いられています。違いは2点あります。ひとつは、プレイヤー全員でひとつのセットからカードを選択するのではなく、それぞれのプレイヤーが1〜9までのカードを持っており、それぞれ手札から役割カードをプレイする点です。もうひとつは、(使用した役割カードを回収する能力のある役割カードをプレイするまでは)一度使用したカードを2度使用できないという点です。

 複数のプレイヤーが同一の役割カードを選択することもあり、その処理はスタートプレイヤーから順に判定します。カードによっては先手番が有利だったり後手番が有利だったりしますので、どの役割カードを出すべきかは、「誰がスタートプレイヤーなのか?」「他のプレイヤーが自分と同じ役割カードを選択する可能性があるか?」を考えなければなりません。もちろん火星の開拓状況によっても変わりますし、資源が獲得できる5、8、10ターン目に合わせてカードをプレイする必要もあります。8ラウンド目は2倍、10ラウンド目は3倍の得点が入りますし、ボーナスポイントによっても大きく点数が伸びますので、単に「現在の最多ポイント誰か?」を気にするだけでは正しく形勢判断ができないゲームです。
 10ラウンドと限られているので、絡みの多い5人プレイでも1時間半ほどで終わりました。バランスが良く3〜5人のいずれでも楽しく遊べそうな印象ですが、絡みの多い5人プレイがベストだと思います。役割カードと陣取りのシステムは取って付けた感がなく、ひとつのゲームシステムとして良く機能していると思います。

 残念なのはゲームボードやカードの品質があまり良くないことです。構造上ボードが折れ目から裂ける可能性があったりと標準的な水準と比べるとやや雑な印象です。この点はイラストが綺麗なだけに残念です。

Mission : Red Planet(Asmodée Editions)
 ミッション:レッドプラネット(ホビージャパン)

2006年11月12日

クルード/クルー(Cluedo/Clue)

 「クルード/クルー」(Anthony E. Pratt / Parker Brothers, Hasbro, Waddingtons Games, トミーダイレクト / 1946)は、とある館で不自然死を遂げた主人のジョン・ボディ氏を殺害した「犯人」と「凶器」と「犯行現場」を推理する古典的なボードゲームです。プレイヤーは容疑者でもある登場人物となり、この殺人事件の真相を突き止めるのがゲームの目的です。

 それぞれのプレイヤーに容疑者カード、凶器カード、部屋カードが配られ、手持ちのカードを元に推理をします。殺人事件の犯人・凶器・犯行現場を推理し、最終的にはすべてを突き止めて告訴を行います。告訴が正しかった場合、告訴をしたプレイヤーの勝利となります。

 古典的なゲームですので、今までにいろいろな出版社から出版されています。日本でも何度か製品化されており、今回トミーダイレクトから発売されました。トミーダイレクトの親会社のタカラトミーはHasbro社と業務提携をして代理店となっており、同社の玩具やゲームがタカラトミー(旧トミー)から発売されていますので今回もその一環と思われます。

 ゲームボードの厚みが2mmほどあり、反りや歪みがなく非常にしっかりとした作りです。プレイヤー駒は彩色されており凶器駒は金属製で、コンポーネントの質も大変良いです。価格も実売価格で2,000円台と手頃だと思います。このように日本のメーカーから発売されると入手も楽で言語の壁によるプレイアビリティの低さもありませんから大変嬉しく思います。

 なお、ゲームのタイトルがクルード(Cludo)とクルー(Clue)とふたつ存在するのは、過去の製品化の際の版権関係のためのようです。「名探偵礼讃」さんの「Cluedo/Clue/クルー」のページに詳しく書かれています。
クルード
クルード(楽天で購入)

Cluedo/Clue/クルー(名探偵礼賛)

2006年11月07日

インドネシア(Indonesia)

 「インドネシア」(Jeroen Doumen & Joris Wiersinga / Splotter Spellen / 2005)は、企業を設立し船で都市に生産物を出荷してお金を稼ぐ、インドネシア地方で繰り広げられる経済発展型ゲームです。出版社はオランダのスプロッター社で、日本では販売店が扱っていないこともあってなじみの薄い会社です。初回プレイはルールの説明に時間が掛かることもあって4人で5〜6時間ほど掛かることもありますが、慣れると3時間程度で終わるボードゲームです。

 このゲームの勝利点はお金なので、いかにお金を稼ぐかがポイントになります。手持ちの資金は自由に使用できる「Cash」と、ターン順を決める競りに使用したお金を置く「Bank」があります。勝利点は「Cash」と「Bank」の合計金額ですので、ターン順を競るのに使用したお金も得点としてカウントします。勝利のポイントは「企業合併」をいかに行うかがポイントとなります。そして「生産会社」と「海運会社」をどのように選択して経営するか、どう合併して行くかを楽しむゲームになっています。

 大変面白いゲームなのですが、マニュアルが最低限度のことしか書かれていないためルールの解釈に困ることが多々あります。その中でも「合併(mergers)」に関する部分がゲームのキモですので、合併絡みで解釈に悩む部分をスプロッター社の作者に問い合わせをし、作者の1人であるJoris氏から回答をいただきました。

Q1. 企業合併を行ったとき、自分が持つ権利書分の支払先はどこになるのか?自分の「Cash」か「Bank」か?
A1.「Cash」である。例えば、企業価値5+3の合併に成功し、自分が5、相手が3の権利を持っていたとき、相手に3/8支払い、5/8を自分の「Cash」に支払う(つまり、合併に必要な資金は持っている必要があるが見せ金で良い)。「Bank」に支払うのはターン順の競りに使用したお金のみである。

Q2. 有償で企業を拡張するとき、お金はどこに支払うのか?
A2.「General Cash」である。プレイヤーはそのお金を失うことになる。

 なぜこのような問い合わせをしたのかと言うと、別なルールで遊んでみたらより面白かったからです。オフィシャルルールでは、合併による企業買収を防ぐには見せ金を持っていれば良く、トッププレイヤーに対して、中・終盤の合併による企業買収がほとんど成立しません。そのため資金の読み間違いというミスや合併時の企業価値の判断の誤り以外には逆転を狙うようなダイナミックな合併が成立せず、A・B・Cの時代のB時代の半ばくらいに勝利者がほぼ確定してしまい、そのままゲームが終わってしまうことが多いという問題点を持っています。
 そこで、ハウスルールで自分自身に支払うお金を「Bank」にすることとして数回プレイしました。すると、トッププレイヤーと言えども敵対的買収を防ぐために合併の競りに多くの資金を使うと一時的に「Cash」が少なくなるため、2位以下のプレイヤーにもチャンスが出てきます。これでゲームのバランスが崩れたかと言うと逆で、どのゲームも非常に緊迫したゲームとなりました。
 マニュアルには「Note that the acquiring player must be able to pay the total sum bid, even if he owns one or more of the original companies.」とわざわざ注意書きがありまして、マニュアルの記述が足りないだけで、もしかしたら作者の意図としては「Bank」に支払うのが正式なルールではないかと深読みして問い合わせをしました。残念ながら作者からの回答は違いましたが、このハウスルールでは中盤でゲームが決まってしまうことがなくなり合併の資金が足りない下位プレイヤーにもチャンスが生まれ、より白熱した合併合戦が起こるようになりますので個人的にはお勧めします。ぜひ一度このハウスルールで遊んでみてください。

インドネシア(Splotter Spellen)

2005年11月23日

指輪物語(Der Herr der Ringe)

 「指輪物語(ロード・オブ・ザ・リング/ Lord of the Rings)」(Reiner Knizia / Kosmos / 2000)は、J. R. R. Tolkien 原作の小説「指輪物語 (The Lord of the Rings)」をテーマとした、協力タイプのボードゲームです。プレイヤーは「ホビット」となり仲間と力を合わせて滅びの山に「ひとつの指輪」を葬るために旅に出るという、原作ファンや映画ファンにはたまらないテーマです。カプコンの出した日本語版が手元にありますが、惜しむらくは、一度読んだくらいではどのような手順で遊んでいいのか不明なくらいマニュアルが分かりにくいということでしょう。

 プレイヤーたちのひとりでも生き残れば勝利という、ドイツのボードゲームでは珍しい勝利判定となっています。「イベントカード」をめくることで各シナリオでのイベントが進行し、「ホビットカード」をプレイすることで歩みを進めることができます。途中、「指輪」の力を使って一気にコマを進めたり、「ガンダルフカード」や「特殊カード」の力によって冒険を有利に進めることもできます。また、ダイスを振ることで「サウロンの眼」がホビットたちを発見するのに近づいていきます。サウロンの手から逃れ、「モリアの坑道」→「ヘルム峡谷」→「シェロブの巣」→「モルドール」と歩みを進め、指輪を葬りに行きます。

 このクニツィアの「指輪物語」以前、ボードゲームは他のプレイヤーと競うものであり、「1対多」という図式の「スコットランドヤード」などのゲームはあったものの、他のプレイヤーと協力して勝利を目指すというゲームはそれまでほとんどありませんでした。しかしこのゲーム以降、協力ゲームがいくつも登場し、最近の話題作である「キャメロットを覆う影」ではテーマを活かした協力タイプのボードゲームのひとつの完成型に達したように思います。

 協力タイプの宅上ゲームの雄と言えばTRPGで、「ダンジョンズ&ドラゴンズ」以降、アメリカで発達して行きました。その発展の途中で「クトゥルフの呼び声」のサプリメントのシナリオから「アーカムホラー」が協力タイプのボードゲームとして登場したこともあります。最近、思い出されたように新版が発売されましたが、クニツィアの「指輪物語」の登場が「アーカムホラー」の再販に影響を与えたのではないかと個人的には思っています。他にも、RPGの派生としてのボードゲームというものはいくつも生まれ、そして忘れ去られていったように記憶しています。

 また、「丘の上の裏切者の館」の登場も、この「指輪物語」以降の流れのひとつだと思います。ゲームシステムが、ボードゲームの抽象化の作法で作られているというよりは、RPGの物語性の文法で作られていると思えるからです。細かな立証を飛ばした乱暴な意見ですが、クニツィアの「指輪物語」の、ドイツのボードゲームとしての協力ゲームはこうあるべき、というひとつの答えに対し、そんなの何十年も前に通過してるよ、というアメリカの宅上ゲームの反論、といった図式があるのではないかと思っています。

 このボードゲーム側からの歩み寄りとRPG側からの歩み寄りの先に、今まで存在しなかった宅上ゲームの新ジャンルの完成がなされるのではないかと考えています。ボードゲームにおいて、ある種のテーマゲームがパズル性ではなく物語性を持ちはじめており、それはある意味ダイスロールを必要としないロールプレイングゲームのひとつの表現形式であるとも言えるのではないか、と感じます。それらの半歩先に新種の宅上ゲームが続々と登場するような、祭りの前夜のような、そんな感じがしてなりません。ただの揺り戻しでなければ、ですけれど。

【玩】ボードゲームロードオブザリング指輪物語
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Der Herr der Ringe(指輪物語)
 Kosmos
 ロード・オブ・ザ・リング 〜指輪物語〜(カプコン)

2005年11月16日

インコグニト(Inkognito)

 「インコグニト」(Alex Randolph, Leo Colovini / Milton Bradley, Winning Moves / 1988)は、ヴェネツィアを舞台に4人のスパイが暗躍する推理ゲームです。4人のプレイヤーがそれぞれ正体を隠したスパイとなります。自分のパートナーとなるスパイを見つけ一緒に指令を達成したペアが勝利となります。

 パートナーとなるスパイが誰なのか特定するのが最初の目的です。しかし、スパイの「正体」も「体型」も持っている「指令」も不明です。自分のコマを動かして他のプレイヤーコマに接近し、質問をすることで少しずつ特定していくことになります。質問に対し質問されたプレイヤーは真実を示したカードと虚偽情報のカードをセットにして見せます。

 こうして互いに質問を繰り返していくことによってパートナーを捜していきます。パートナーが薄々特定できてきたら、「正体」のキャラクターの「クセ」をジェスチャーで伝えたり、また間違ったジェスチャーをすることで他のプレイヤーを惑わすこともできます。また、「大使」コマに接近することで、より精度の高い他のプレイヤーの情報を得ることもできます。

 パートナーが特定できたら、互いの「指令」カードの組み合わせで生じる「指令」を一緒に達成するように協力します。無事達成できれば互いに握手をして勝利となりますが、パートナーと思っていた相手が実はパートナーではなくて握手を拒否した場合は敵のペアの勝利となります。

 初めは誰が味方なのか不明で、特定してから協力して指令を達成するという、二段構えの少し変わった推理ゲームです。手探りで真実を確かめていくところは推理ゲームならではの面白さです。パートナーを見つけて終わりではなくて後半の指令達成パートがあるのが特徴で、もしかしたら間違っているかも知れないという段階から推理して先に動いたり、敵のペアの行動で予測したりと、自身の推理によって得られた確信に基づく行動での勝利を得たときは推理ゲーム好きにはたまらないものです。

 「警告のしるし」と呼ばれる覆面をかたどったボール抽選機(移動のダイス代わりのようなもので振るとカラーボールが3つ表示される)がカラカラと少しうるさく、ボールをケースに入れた順番で出目がやや偏る気がするのが難点だと思います。個人的には「警告のしるし」を使用せず、巾着袋に入れてボールを3つ握るのが良いと思っています。本当は使用した方が雰囲気が出るのでしょうけれど。

インコグニト(Inkognito)
インコグニト(楽天で購入)

Winning Moves

アーカムホラー 新版(Arkham Horror)

 「アーカムホラー」(Lynn Willis, Charlie Krank, Richard Launius / Chaosium, Fantasy Flight Games / 1987, 2005)は、クトゥルフ神話を題材としたTRPG「クトゥルフの呼び声」をモチーフとしたアーカム市が舞台のボードゲームです。プレイヤーは協力してエンシェント・ワンによるアーカム市の崩壊を防ぐのが目的です。オリジナル版が1987年に Chaosium から発売され、日本語版が1988年にホビージャパンから発売されました。長らく絶版となっていましたが、このたび Fantasy Flight Games から新版が発売されました。新版は旧版にルールに変更が加えられているようです。公式サイトではマニュアルがダウンロードできます。

 20年近く前に出た協力タイプのボードゲームがバージョンアップしての登場です。新版のマニュアルを読む限り面白そうなのですが、国内のショップでは売り切れており、現在入手難となっています。11月下旬以降にメーカーが再生産予定とのことですので、待つしかないようです。

Arkham Horror(アーカムホラー)
 Fantasy Flight Games(ファンタジーフライト)
 Chaosium(ケイオシアム)

2005年11月08日

丘の上の裏切者の館(Betrayal at House on the Hill)

 「丘の上の裏切者の館(ビトレイアル・アット・ハウス・オン・ザ・ヒル)」(Bruce Glassco /Avalon Hill, Hasbro / 2004)は、丘の上に建つ古い館を探索するホラータイプのボードゲームです。プレイヤーたちは協力して館を探索し、最終的にはヒーローとして幽霊と戦うなど目的を達成することを目指します。プレイヤーの中にひとり裏切り者が居ることが発覚します。裏切り者は幽霊の手助けをして、幽霊側の目的を達成するのが勝利条件です。

 ゲームは前半の探索ターンと後半の幽霊発生後のターンに分かれています。前半では館の探索をします。プレイヤーは「移動」「新しい部屋の発見」などの行動を取り、館を調べて行きます。探索中に幽霊が出る「前兆」カードを引くと、「ホーント・ロール」と呼ばれる出現チェックをします。幽霊が現れるとどんな幽霊が発生したのか、そして誰が裏切り者なのかをチャートにより確定させます。その発生するシナリオは50種類あります。

 裏切り者は「裏切り者の書」を読み、幽霊側の勝利条件を確認します。残りのプレイヤーはヒーローとなり「生き残りの秘密」を読み、勝利条件を確認します。そして後半部分の幽霊発生後のターンが始まります。ヒーローのターン、裏切り者のターン、幽霊のターン、の順に処理をして、目的を達成するためのトークンを集めるなどを行います。目的を達成した側の勝利となります。ヒーローはひとりでも生き残って目的を達成すれば、裏切り者は自身が死んでしまっても幽霊側の目的を達成すれば勝利となります。

 このゲームは協力ゲームですが、ひとりだけ裏切り者がいます。「キャメロットを覆う影」と違うのは、誰が裏切り者かプレイ開始時には決まっていなく、裏切り者が誰かが決まったあとでは誰の目にも明らかであるという点です。前半の探索部分では誰が裏切り者か確定していなく、チャートによって突然裏切り者が決まるため、誰が裏切り者なのか当てるという要素はありません。

 また、非常にRPGチックなボードゲームであるとも言えます。Avalon Hill はTRPGも制作しているところですので当たり前かも知れませんが、RPGをボードゲームにしたらこうなる、というひとつの見本だと思います。ルールで演技することを(ほとんど)求められていない点を覗けば、コマやマップボードが一式付属したTRPGのサプリメントのようでもあります。ホラーゲームではおなじみの「正気チェック」がありますし、失敗すると「知識」や「正気」に精神ダメージを受けるという点など、TRPGゲーマーにとっては実にたまらないシステムです。

 裏切り者の確定が機械的であるという部分など、TRPGでは必要な「ゲームマスター」が不在でも遊べるように作られている部分は一長一短と思えます。しかしながら、勝利しなくても雰囲気を味わいながら過程を楽しめればいいというTRPGの良さがあり、このゲームはそういう良さを楽しめるゲームです。ある種のテーマを持ったボードゲームはこのゲームのように物語性を帯びて発展して行くのではと思わせる、示唆に富んだゲームシステムだと思います。

Betrayal at House on the Hill(丘の上の裏切者の館)
 Avalon Hill(アバロンヒル)
 Hasbro(ハズブロー)

七人の賢者(Die Sieben Weisen)

 対立した勢力同士の戦いと言えば、同盟と離反がめまぐるしく起こる交渉ゲームの「七人の賢者」(Reiner Stockhausen / alea / 2002)が挙げられます。七人の賢者は、プレイヤーが7人のいずれかの賢者となり他のプレイヤーと交渉して同盟を結びながら戦闘に勝ってポイントを稼ぐというマルチタイプのゲームです。

 ボードは非マップ型で戦闘システムは基本的にはカードを出して数が多ければ良いという、いたってシンプルなゲームです。そのため、階級の序列とその儀式タイルでの獲得ポイントの順位による差と自分の手札と他人の獲得ポイントなどを元に、どう振る舞えば他人を出し抜ける有利な交渉ができるかという、交渉にポイントが置かれたマルチゲームです。

 ボードは儀式タイルを3枚配置してスタートします。戦闘が終わると別の2枚のどちらか一方に移動します。儀式タイルには7人の賢者の階級の序列が示されており、儀式タイルごとに違います。序列ごとにその儀式タイルで戦闘に勝利した順に「ポイントクリスタル」を得ることができます。どの賢者を選ぶかは、手札の魔法カード、賢者の序列などを考慮して決めることになります。その後同盟交渉が行われます。

 同盟交渉では、得られるポイントと他のプレイヤーの現在の獲得ポイントなどを考慮し、自分にとって優位になるように同盟を結ぶよう働きかけます。必然トップ叩きや潰し合いというマルチゲームにありがちな事態になりますが、交渉を有利に働かせることでのみ出し抜くことができます。同調するも裏切るも交渉能力次第となります。

 3人から5人でプレイできますが、面白いのは奇数人数です。1:2、3:2、などとなりますので戦闘におけるパワーバランスが崩れがちです。自分の獲得ポイントが低い場合は数の多い方に属しつつもすぐに戦闘を降りて魔法カードを補充したりと、出し抜くことができる場合もあります。

 交渉のウェイトが高いのでいつもプレイするのはやや重いです。前回敵だったプレイヤーとも今回は同盟を組まざるを得ないといったケースなど、陣営の入れ替わりが頻繁に起こるゲームシステムですので、交渉は完全にプレイヤー任せながら、多人数ゲームにおけるパワーバランスの変化をシステム化している部分が評価できると思います。

Die Sieben Weisen(七人の賢者)

フェレータ(Verräter)

 裏切るゲームと言えば、まずは「フェレータ(反逆者、裏切り者)」(Marcel-André Casasola Merkle / Adlung-Spiele / 1998)が思い浮かびます。フェレータは、ワシ陣営とバラ陣営のふたつの勢力の戦いをテーマとしたカードゲームです。プレイ人数は3もしくは4人です。3人プレイの場合は奇数ですので陣営のバランスは均衡にはなり得ません。4人プレイの場合は均衡になり得ます。そのため、人数によってゲーム性が変わります。

 このゲームの特徴は「アクションカード」と呼ばれる役割を現すカードがあることです。その中には、このゲームの題名ともなっている「反逆者」カードが含まれています。そして、このゲームの面白さはこの「アクションカード」の選択システムにあります。6種類あるアクションカードをランダムに1枚抜きデッドカードとします。次にスタートプレイヤーが残りのカードの中から自分の欲しいカードを1枚選択します。順番に次のプレイヤーから残ったカードの中からアクションカードを選んで行きます。選んだカードの効果を活かしてポイントを稼ぐことを目指します。

 アクションカードの中には自分の陣営を変更する「反逆者」カードが含まれていますので、自分のカード選択の番に「反逆者」カードがすでにない場合は、ランダムでデッドカードになったか、誰かが裏切る気つもりで選択したかのどちらかです。そのため、カード選択の駆け引きが生じ、いかに多数派として戦って得点を稼ぐか、いかにタイミング良く裏切って出し抜くかがポイントとなります。そのため、カード選択の手番が重要なゲームとなっています。裏切ったり出し抜いたりできるゲームをしてみたいのならお勧めです。このカード選択システムは後に「あやつり人形(Ohne Furcht und Adel)」の作者が参考にし、類似の職業カード選択システムとして採用しています。

Verräter(フェレータ)

キャメロットを覆う影(Shadows over Camelot)

 「キャメロットを覆う影(シャドウズ・オーバー・キャメロット)」(Serge Laget, Bruno Cathala / Days of Wonder / 2005)は、アーサー王伝説が舞台で、プレイヤーたちは円卓の騎士となり協力して悪の勢力を倒すと勝利となるゲームです。しかし、円卓の騎士の中にひとりだけ裏切り者がいます。裏切り者は他のプレイヤーたちを妨害し、悪の勢力が勝つと勝利となります。

 ボードゲームでは数が少ない協力ゲームであり、同様に数が少ない裏切り者がいるゲームです。そのため、非常に珍しいタイプのボードゲームであるとも言えます。面白いと思うかどうかは個人によって感性が違うとしても、珍しいシステムですので一度プレイしてみた方が良いと思います。協力と裏切りというものが上手にシステム化されており、テーマであるアーサー王伝説も活かされている、極めて高い評価ができるゲームだと思います。

 プレイは基本的に会話によって全員の合意を得ながら行動して行きます。初期状態で6種類あるクエストをどのように攻略して行くか、互いの手札やキャラクターの能力などを軸に戦略を立てることになります。各プレイヤーは自分の手番が来ると最初に悪の勢力のプレイをし、次に円卓の騎士である正義側の勢力のプレイをします。必ず悪の勢力側も進行して行きますので、協力しないととても攻略できません。しかし、裏切り者が混じっているので全面的に信頼すると取り返しのつかない事態になることもあります。裏切り者のプレイヤーはソロクエストを故意に失敗させたり、いろいろと理由をつけて協力を拒んだり、わざと戦略を間違った方向に誘導したりと、いろいろな妨害をします。

 裏切り者を「告発」することができますが、告発が間違う危険性もありますし、裏切り者自身が虚偽の告発をすることもあります。また、裏切り者が確定したあとは以後悪の勢力のみをプレイしますので告発すれば良いというものでもありません。怪しいプレイヤーが居ると分かっても「裏切れない状況」を作りつつ協力させる、言わば「泳がせておく」というのも実に有効な戦略でもあります。

 このあたりの協力と裏切りのシステムが非常に良くできているのですが、人数によってゲームバランスが激変するのが難点でもあります。3〜7人でプレイできますが、人数が少ないと裏切り者が有利に、多くなると正義側が有利になります。4人プレイだと基本ルールのままでもバランスが取れていると思いますが、5人以上となると初期状態で役割をなしにしたり、初期手札枚数を減らしたり、初期生命力を減らしたりと細かなバランス調整をした方が良いと思います。初めてプレイする人と経験者のバランスによっても調整すると良いでしょう。

 また、裏切り者が居るのか居ないのか分からない方がプレイに深みを与えますし、裏切り者が居ないプレイはさみしいものがありますので、「プレイ人数+1枚」のカードを使用して、裏切り者が居るかいないかは分からないけれど高確率で居る、というようにプレイすると楽しいと思います。

 余談になりますが、協力と裏切りと言いますと、同じ非電源の卓上ゲームであるTRPGでは古くから行われていることです。長いキャンペーンのクライマックスのプレイングの前日にゲームマスターがひとりのプレイヤーに電話を掛け、今まで見え隠れしていた魔王の手下の正体が君であると告げ、最後の戦いで後ろからナイフで刺すようにと指示を出します。そしてそのシーンで仲間を後ろから刺し、「はっはっは、実は俺が魔王様の部下だったのだ」「バ、バカな」、といったことは頻繁に行われてきました。一種の風物詩のようなもので、30年前にTRPGが通過した地点でもあります。個人的には、ボードゲームの進化のひとつの方向性が垣間見えるような気もします。

シャドウズ・オーバー・キャメロット
キャメロットを覆う影(楽天で購入)

Shadows over Camelot(キャメロットを覆う影)

2005年10月20日

マメじゃないよ(Nicht die bohne!)

 「マメじゃないよ」(Horst-Reiner Rösner / Amigo-Spiele / 1999)は、4色ある豆のカードを多く集めるカードゲームです。各カードには点数となる数字が書かれており、色ごとに合計します。最も多い得点を稼いだプレイヤーが勝利となります。

 親となったプレイヤーは、親を現す豆マーカーと手札から1枚のカードを提示します。他のプレイヤーも同様に1枚ずつ提示します。親プレイヤーは子プレイヤーの出したカードから一番欲しいカードを取って自分の場に置きます。親にカードを取られたプレイヤーは、残った子のカードの中から欲しいカードを取って自分の場に置きます。これを繰り返し、最後のプレイヤーが豆マーカーと親のカードを引き取り、次の親となります。

 豆のカードの中には、特定色の得点が0点になる「マメじゃないよ」カード、マイナスになるカード(2枚集めるとプラスにもなるが3枚存在する)、特定色の得点が2倍になるカードがあります。このため、親が自分の欲しくないカードを提示したときは親が欲しくてたまらないと思うカードを出し、親のカードを引き取りたい場合や親番が欲しいときは親が要らないと思うカードを出します。他のプレイヤーも同じことを考えますし、トップのプレイヤーの点数が伸びないようにしたり、マイナスカードを押し付けたり、その時々で取るべき行動が変わってきます。

 基本的には読み合いとなるゲームです。ルールがシンプルで情報量も少ないので漫然とプレイしていると勝てず、深く読んだプレイヤーが勝つタイプのゲームです。3〜6人用ですが、なるべく多い人数でやる方が絡みが増えて読みにくくなります。逆に3人だと必然プレイの繰り返しのようなミスの許されないゲームとなります。頭で把握しきれる情報量での読み合いという難易度とゲーム性のバランスの良さと、この「マメじゃないよ方式」のカードの取り合いが非常に面白く、個人的には最も好きなカードゲームです。

Nicht die bohne!(マメじゃないよ)

ブラフ(Bluff)

 「ブラフ」(Richard Borg / FX Schmid, Ravensburger / 1993, 2001)は、プレイヤー全員がカップに複数のダイスを入れて振り、出目の種類と個数を当てるゲームです。ダイスは1〜5、そして6の代わりにオールマイティの☆マークの6面となっています。

 各プレイヤーは自分の振ったダイスの目だけ確認することができます。スタートプレイヤーは場全体に何がいくつあるかを予想し宣言します。例えば、「3が4個以上ある」などです。次のプレイヤーは、もっと多くの数があると思う場合や、前のプレイヤーが宣言した出目より大きな数が同個数あると思う場合は数を増やして宣言します。例えば、「3が5個以上ある」、「5が4個以上ある」、などです。ダイスをひとつ以上場に晒して残りのダイスを振り直してから宣言することもできます。

 前のプレイヤーが嘘を言っていると思う場合は「ブラフ」を宣言し、全員のダイス目を確認します。「ブラフ」が正解(実際のダイスの個数が宣言した数以下)なら宣言した数と実際の数の差分の個数のダイスを「ブラフ」を掛けられたプレイヤーが失い、「ブラフ」が不正解(実際のダイスの個数が宣言した数以上)なら「ブラフ」を掛けたプレイヤーが差分の個数のダイスを失います。また、宣言された数と同個数の場合は「ブラフ」を掛けられたプレイヤー以外全員がダイスをひとつずつ失います。失ったダイスはボードのダイス置き場に置き、ゲームは継続されます。ダイスがなくなるとゲームから脱落し、最後に残った人が勝利となります。

 ダイスは全部で30個使用します。ゲームに使用されないダイスはボードのダイス置き場に置いておきます。これにより、確率計算が簡単にできるようになっています。ダイス置き場は3段×5列が2箇所あります。ひとつもダイス置き場に置かれていない場合は10列すべて空いていますので、平均で「1(〜5)」が10個出る確率(☆を含む)となります。ゲームが進んで8列とふたつ埋まったときは、残りは1列とひとつなので、平均で1.33個出る確率となります。このため確率計算が苦手な人でも容易に確率を予想できます。

 このゲームの醍醐味は、自分のダイス目や相手の宣言から場のダイスを推測し相手の「ブラフ」を見抜いたり、逆にはったりで強気に押したりする心理戦の駆け引きです。自分のダイスが減っていけば不利になりますので、いつも「ブラフ」を掛ければいいというものでもなく、ダイスの多い人を狙ってダイスの個数を削っていくのも重要です。自分が場の半分以上のダイスを保持しているときはゲームを支配した気分にもなれます。

 ルールが簡単で一度遊べば覚えられます。2〜6人用で、気軽にみんなで遊べるゲームのひとつです。

Bluff(ブラフ)

スルース(Slueth)

 「スルース」(Sid Sackson / Face2Face / 1967, 2004)は、36種類のうち隠した1枚の宝石カードの種類を当てる推理ゲームです。絶版となっていましたが2004年に「Face2Face」から再販されました。

 宝石3種×4色×1〜3の個数で、合計36種類の宝石カードがあります。質問カードを上手に活用して相手の手札を明らかにしていき、どの宝石カードが隠されているかを推理します。手番になったら質問相手を指定し、質問カードに沿った質問をします。「赤のダイヤは何枚持っているか?」などです。隠された宝石カードが分かったら宣言し、当てれば勝利となります。

 推理力や情報を整理する能力が問われます。うまく質問することによって他人の宝石カードを特定していきますが、手持ちの質問カードでは効率の良い質問ができない場合もあります。他人の質問もうまく活用して少しずつ絞っていく必要があります。自分の欲しい質問カードが引けるかどうかの運の要素もありますが、推理ゲームが好きな人にはお勧めです。

 唯一の問題点としては、ルールがシンプルなために誰かが一度でも間違って答えてしまったらおしまいという点です。他の推理ゲームでは手札交換などにより情報の精度が完全ではなくてもゲームが成り立つようになっていたりしますが、このゲームでは純粋な推理だけなので、誰かがうっかり間違って答えてしまうと推理が成り立たなくなってしまいます。

 わざと嘘を答えるのはルール違反ですが、宝石の種類(パールとオパール)などわざと間違えやすくデザインされているので、絶対に間違いがないとも限りません。滅多にないこととは思いますが、過去に実際に一度起きて残念な思いをしたことがあります。

スルース
スルース(楽天で購入)

Slueth(スルース)

ゴキブリポーカー(Kakerlaken Poker)

 「ゴキブリポーカー」(Jacques Zeimet / Drei Magier Spiele / 2004)は、押し付けられたカードの内容が真実か嘘かを当てるブラフ系カードゲームです。2〜6人でプレイできます。

 スタートプレイヤーは自分の手札から1枚の虫カードを裏にして誰かに押し付けます。そのとき、「このカードは○○である」と宣言します。本当のことを言っても嘘を言っても良く、押し付けられたプレイヤーは真実か嘘かを当てます。当たればその虫カードを出したプレイヤーが引き取り、間違ったときは押し付けられたプレイヤーが引き取ります。答えることを保留したいときはカードの表を見てカードの内容を確認し、別なプレイヤーに押し付けることもできます。これを繰り返し、同一カードが4枚になった人が負けとなります。

 カードゲーム・ボードゲーム初心者でも楽しめる、読みや駆け引きが重要なゲームです。勘が鋭ければゲーム歴もプレイ回数も関係ありません。心理戦に長けた人が勝つのです。プレイに参加した人のクセや特徴を読んだり騙したりすることが非常に面白いです。カードを保留しがちな人にパスして身の安全を図ったり、同一カードが3枚になっている人に決断を迫ったり、相手の目を見て真実か嘘かを判断したり、いろいろとやり方があります。

 カード絵が害虫の類いなので好き嫌いが出るかもしれませんが、ルールはシンプルで読み合い騙し合いの楽しめる良いゲームだと思います。ゲーム会の空き時間にプレイしたり、旅行に持っていったりするのに最適だと思います。


ゴキブリポーカー(楽天で購入)

Kakerlaken Poker(ゴキブリポーカー)

エボ(Evo)

 「エボ」(Philippe Keyaerts / Eurogames・Descartes / 2001)は、恐竜を進化させてより多くの個体を生き残らせ勝利ポイントを稼ぎ、最もポイントの多い人が勝利となるゲームです。

 恐竜に遺伝子を追加して生存競争に勝ち残ることを目指します。たくさん卵を産む種族にしたり、足を速くし攻撃力を上げて他の種族を殺すことで勢力を増したり、気候変動に適応することで多くの個体を生き残らせるようにしたりと、種をいろいろと特徴付けられることがこのゲームの面白さとなっています。各ターンの終わりに、生き残った恐竜の数の分勝利ポイントが増えていきます。

 恐竜を進化させる遺伝子は競りで落とします。競りは、競り落としたいものが被らなければその遺伝子を落札できる、あとから入札した人によって入札が被った場合は別なところに移動するかより高い値を付ける、ということを繰り返すシステムです。競りには勝利ポイントを使用するのであまり高く落札できないですし、なかなか欲しい遺伝子が競りに出てこなかったり、同じ遺伝子ばかり出て相場が安くなったりといろいろな状況があります。ゲームの戦略の軸となる部分でもあります。

 恐竜たちの棲む島は激しい気候変動があり、気候に適応できない恐竜たちは死んでいきます。事前に棲みやすい土地に移動したり、遺伝子を強化して耐候性を付けることによって生き残りを目指します。場合によっては他の種族を蹴散らして棲み良い地形の土地を確保する必要もあります。ターンの終わりには卵を産むことができますので、頑張って種を増やしていきます。時代が進み、最後に隕石が衝突するとゲームは終了となります。

 気候を変動させたり一時的に攻撃力を上げたりといった特殊効果のあるイベントカードはなかなか強力です。うまく使用することで勝率は上がると思います。場面によっては非常に凶悪なカードもありますので、競りでイベントカードばかり落とすというのも戦略のひとつです。イベントカードは日本語化しないと読むのに大変だと思います。

 総評としては、なるべく多い人数(4人か5人)でワイワイと遊ぶのが楽しいゲームだと思います。盤面での衝突が多いといろいろ選択肢が出てきて楽しめます。一方で運の要素がかなり大きいゲームなので、戦略で勝ると勝利するというものでもありません。ですが、意外と重めのゲーム好きの人でも楽しめる、要素の多いゲームでもあります。「恐竜」とか「進化」といったキーワードに反応するタイプの人間は楽しく遊べると思います。

 絵柄に好き嫌いが出そうなところや、勝利ポイントのカウンタが競りのボードの周囲に小さいマスで書かれているなど明らかにプレイしづらい部分があるのはマイナス要素だと思います。また、付属のダイスが木製のため出目が微妙に偏ることもありますので、市販のダイスを使用した方が良いかも知れません。ダイス目が重要なゲームでもあります。

Eurogames・Descartes

2005年10月15日

ゴーストバスター(Gespensterjagd)

 「ゴーストバスター」(Kai Haferkamp / Amigo-Spiele / 2001)は、古城でおばけを追いかけるという「スコットランドヤード」ライクな追いかけっこゲームです。おばけを捕まえれば追跡者側の勝利、見事逃げ切ればおばけ役の勝利です。

 おばけは壁をすり抜けられますが、追跡者は人間なので扉や階段を通じてしか移動できません。しかし、おばけは必ず移動し続けなければならないため同じ部屋に留まるということはなく、基本的には2度同じ部屋を通過できないので移動するごとに経路を辿りやすくなります。移動の経路は移動カードを重ねて置くことで分かるようになっています。また、ボードの周囲には時間の経過を示す動物たちがいて、同種の動物がすべて取り除かれるとそのときだけおばけが姿を現します。

 移動ルールが厳しくおばけ役はかなり大変ですが、スタート位置の選択を考慮して経路を一本道で推測させないようにしたり特殊移動カードを活用したりして、追跡者たちの包囲網をいかに突破するかが勝負となります。序盤で布石を打って中・終盤に包囲網を突破できればおばけ役が勝利できると思います。

 推理ゲームですが、古城でのおばけ追跡というテーマを楽しむゲームでもありますので、ガチガチに推理するよりもワイワイ楽しむ方がいいかもしれません。イラストの雰囲気が出ていてルールの煩雑さもなく、個人的には「スコットランドヤード」より気に入っています。

Gespensterjagd(ゴーストバスター)

2005年10月12日

バベル(Babel)

 「バベル」(Uwe Rosenberg, Hagen Dorgathen / Kosmos / 2000)は、古代メソポタミアが舞台の、相手より早く一定の得点分の神殿を建てた方が勝利となる2人用カードゲームです。

 このゲームの面白いところは5種類の民族カードがあって同じ民族のカードを3枚連続して場に出すと様々な効果を発動するコンボが発生するところです。このルールによって状況がめまぐるしく変わり、大差で負けていても突然逆転することも可能で、優勢劣勢がターンごとに変わったりします。その振り幅が大きいもののそれでいてバランスが不思議と取れており、2人用対戦カードゲームとして非常に面白いものとなっています。

 唯一残念なのはコンボ発動の代わりに相手の手札を半減させるルールがあることです。これにより、優勢なプレイヤーが相手のカードを減らし続けることが可能なため劣勢なプレイヤーがコンボ発動の機会が永遠に奪われてしまうなど、状況によってはしばしば逆転不可能なワンサイドゲームになってしまうことがあります。ですので、このルールを採用しないで遊ぶ方が面白いかもしれません。

Babel(バベル)

修道院殺人事件(Mystery of the Abbey)

 「修道院殺人事件」(Bruno Faidutti, Serge Laget / Days of Wonder / 1996, 2003)は、修道院内部で起こった殺人事件の犯人を当てる推理ゲームです。ミサで皆を招集するためのベルなどボードやコンポーネントが良くできていて、大変雰囲気が出ており本当に犯人探しをしている気分になります。

 実際のゲームではどう質問するかが真犯人特定の鍵となります。質問ルールは独特で、「質問に答えなくても良い」、「質問に答えた場合は逆に質問することができ、相手は拒否はできない」というものです。また、容疑者カードを隣の人と交換するルールがあるので、今までに質問された内容によって情報を絞ったり流したりと手札で情報のコントロールができます。

 また、特殊カードが強力なので推理がさっぱりの人は一発逆転を狙ってカードを利用したプレイをするのも有効です。いずれにしても、得られた情報をどう整理するかがポイントですので、確定情報だけでなく情報の濃淡で推理するなど自分なりの戦略を立てる必要があります。告訴で真犯人を特定できなくても告発で犯人の特徴を言い当てれば細かく得点して勝利できるという部分だけは個人的にはあまり好みではありませんが、推理ゲームが好きな人にはお勧めできるゲームです。

Mystery of the Abbey(修道院殺人事件)

2005年10月11日

株式売買ゲーム

 株式売買をテーマにしたボードゲームはいくつもありますが、実際の株取引に似ているもの、何となく雰囲気が出ているもの、要素としてそれっぽいもの、などをいくつか挙げてみます。

 株式売買ゲームと言えば真っ先に思いつくのが、「モトリーフールの安く買って高く売れ」(Reiner Knizia / Uberplay Entertainment / 2005)です。最終的に一番多くお金を持っていたプレイヤーが勝利となるゲームで、3種類ある産業の株式を購入して売却益を得るところはなるほどそれっぽい部分です。株価が変動しづらい産業の株をホールドしつつ、株価が変動しやすい株を売買して売却益を出すことができるところなどはなかなか株式っぽいところです。
 しかし、カードをプレイして相場を上下させるところなどはあまり株式っぽくない、ゲーム的な部分です。また、2番手プレイヤーが初手で手持ちの株式を売却してあとは相場を変動させて他人の足を引っ張るというプレイがかなり効果的で大勝ちも狙えると思われるところが、株なんかやらない方がいいんだよというアイロニーのように思えてなりません。

 また、「ビッグディール」(G.Zuckerman, T.Harpaz, R.Wagner, Y.Rotem / Amigo Spiel / 2001)というゲームでは、カードを集めて株式会社を設立して収益を得るところ、設立した株式会社を買収したり防衛したりするところ、最後のゲームオーバーカードを引きゲームが終了するときにバブルがはじけて(?)手持ちの会社や資源の価値が暴落してしまうところなどは要素として株式っぽいですし、なかなか良くまとまったゲームです。このゲームは4種類ある資源の売買で売却益を出せるのですが、モトリーフールの3種類の産業の株式売買と同じように、ボードゲームでも実際の株取引に似せられる部分だと思います。

 一方、株式の変動や仕手戦の仕組みをシステムとしてうまく再現していて、私が一番株式っぽいと思うゲームは、「マネージャー」(P.Pfeiler, W.Pfeirer, B.Munchhagen / Hexagames / 1991)です。1991年作品なので残念ながら絶版なのですが、非常に良くできたゲームです。株価の変動のシステムでは、最安値を付けた人から2,000金ごとにチェーンして、うまく一番高く値を付けた人の株価が大きく上がるところなど、株価の変動というゲームにするのが難しい部分を独自のシステムで実現しています。うまくやればクロス取引や仕手行為、見せ板的手法などを駆使して相場を作り大きな利益を出すこともできます。最終的には工場を10個建てた人が勝利なのですが、相場をいかに自分の思うように操るかが楽しくて、結果大損しても楽しいと思える面白いゲームです。

The Motley Fool’s Buy Low, Sell High(モトリーフールの安く買って高く売れ)
 AMIGO Spiel + Freizeit GmbH
 Hexagames

プエルトリコ(Puerto Rico)

 「プエルトリコ」(Andreas Seyfarth / alea・Ravensburger / 2002)は、2002年ドイツ年間ゲーム大賞最終ノミネート、同年ドイツゲーム賞金賞+金の羽根賞受賞作品です。いろいろな戦略が楽しめるゲーマーズゲームで、個人的には最も面白いボードゲームと言えると思います。

 戦略・発展系のゲームで、プエルトリコ島でのプランテーション経営がテーマです。作物を旧世界に出荷するか都市に建物を建てることで勝利ポイントを得ることができ、ゲーム終了時に最も多くの勝利ポイントを持っているプレイヤーが勝者となります。得点を稼ぐ方法が「出荷」か「建築」のふたつなので、どちらかに比重を置いて得点を稼ぐ戦略を俗に「出荷型」、「建築型」と呼ばれています。実際にはハイスコアゲームになる場合はどちらも重要で、建築型プレイヤーは速攻でロースコアゲームを狙い、出荷型プレイヤーはハイスコアゲームに持ち込んで大建物のボーナスでは太刀打ちできない得点を稼ぐためひたすら生産・出荷を繰り返したりします。複数のプレイヤーの思惑や番手などが絡み、複雑なゲームとなっています。

 初めてプレイするときには建物の効果が分からず発展させ方が分かりにくいのが難点です。お金も増えずジリ貧となりプレイが作業となって上級者のプレイを見てるだけ、となりがちです。最初は、手番が回ってくるのが早く相手のプレイに関わらずある程度自分のやりたいようにプレイできる3人プレイが軽めでお勧めです。ベストは4人プレイで、プエルトリコの真骨頂と言えます。いかに下家を縛るか、どの役割を選んだら優位に立てるか、読みと流れと運の要素が非常によくバランスが取れています。5人プレイは重めでバランスは今ひとつで最善手を続けてもジリ負けする展開になったりと、あまりお勧めできません。

 また、プレイを妨げる要因の最たるものはドイツ語です。建物も役割カードも読めずマニュアルに首っ引きとなりがちです。そのため、タイルを日本語化するのをお勧めします。2、3回プレイして役割や建物の効果が理解できるようになって初めて戦略について考えられるようになるでしょう。最初の数回のプレイで、うまくできなくて難しいから面白くないと感じるか、うまくできなくて難しいけど面白いと感じるかが分かれ目で、面白いと感じた人はきっとプエルトリコの魅力に虜となると思います。

プエルトリコ

Puerto Rico(プエルトリコ)
 Spiel des Jahres 2002(ドイツ年間ゲーム大賞 2002)
 Deutschen Spiel Preise 2002(ドイツゲーム賞 2002)

ルイ14世(LOUIS XIV)

 「ルイ14世」(Rüdiger Dorn / alea・Ravensburger / 2005)が、2005年ドイツゲーム賞第1位作品となりました。

 このゲームは使命カードを達成すること(5点)と紋章チップを得ること(1点)によって勝利得点を稼ぎ、最も勝利得点が多い人が勝者となるゲームです。ルイ14世の時代の要人を表す各人物ボードの上に影響マーカーを置いていき影響マーカーを多く置いた人はその人物から報酬をもらえます。報酬には使命チップや紋章チップなどがあり、使命チップの組み合わせでプレイする使命カードを達成することと、得た紋章チップによって得点することができます。

 このゲームの面白いところは、ふたつの得点方法があってどちらかだけではまず勝てないのでバランス良く得点しなければならなく、ひとつの人物ボードでの1位にこだわるとそのボードで勝利してもゲームでは勝てないというようなバランス感覚やジレンマを楽しめるところです。いわゆるゲーマーズゲームではありますが一度テストプレイをすれば初心者でもすんなりと理解できると思います。

 また、ゲームシステムがよく練り込まれていて一般的なゲームの欠点としてありがちな状況が起きにくくなっています。あからさまなトップ叩きがしにくい、初心者でも大差で負けにくいためゲーム終盤まで楽しめる、初心者が居てもゲームが崩壊しない、談合プレイをしたとしても勝利することが難しい、あたりは非常に秀逸なゲームシステムであると思います。

 一方欠点としては、ルイ14世マーカー絡みの同点処理がすっきりと理解しにくい、使命カードや紋章チップの運の要素がやや大きい、などが挙げられますが前者は同点処理の場合分けの表を作ると分かりやすくなりますし、後者は戦略で補える程度の運の要素であって強い人の勝率が高いゲームシステムであるため、どちらも大きな問題ではないと思います。また、カードがドイツ語で記述されているため使命カードの日本語化をした方がプレイしやすくなりますが、イラストで視覚的に理解できるカードになっていますので日本語化は必須ではないでしょう。なお、このゲームは2〜4人用ですがバランスから言って4人プレイが個人的には最も面白いと思います。

Louis XIV(ルイ14世)
 Deutschen Spiel Preise 2005(ドイツゲーム賞 2005)